毎年一月一五日、飛騨古川の人々は「三寺まいり」に出かける。

親鸞聖人のご遺徳を偲んで、命日の前夜に三つの真宗の寺をお参りする風習だ。

昭和の終わり頃から、これを観光資源として広くアピールすると、多くの人が訪れるようになった。

瀬戸川沿いには灯籠が並び、街の中には高さ2m程もある雪で作られた蝋燭がたくさん並び、夜店も出る。

千本ろうそくの前には着物を着た若い女性がモデルとなり、そのシャッターチャンスをねらって、たくさんのカメラマンが押し寄せるようになった。

三つのお寺の参道は、人気飲食店の行列のように大勢の人が並ぶ。

とても賑やかなイベントになった。

ところが、コロナ禍一変した。

人が集まるイベントは悉く中止となった。

大きな雪像ろうそくは無い、千本ろうそくもなく、着物を着た若い女性もいない。お寺の参道に行列は無い。

灯篭は並べられたが、昔の三寺まいりのような風景だった。

三寺まいりは、元の風習に姿を戻した。

三つのお寺には、いつもの通りお参りする街の人たちの姿があった。

Portfolioの一覧へ